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量子ビーム反応制御・解析技術研究ユニット長挨拶

物質の構造・電子状態解明による様々な化学反応の理解から、
原子力関連材料・システム、環境に優しい材料やシステムの創製を目指す

 溶液、固体、気体などの場における物質の運動は、様々な時間スケールで反応を引き起こし、物質の新しい機能や物性を発現させます。ゆえに、時間軸を考慮した構造・電子状態の変化を知ることは、新機能を有する物質創製反応や分離・イオン認識システムの開発には大変重要なことです。反応の過程については、これまでいわゆるブラックボックスになっていた部分で、この部分を知ることで、ある科学的目的に到達するための新しいアプローチが見えてくると考えられます。量子ビーム反応制御・解析技術研究ユニットでは、放射光を用いる光電子分光やX線吸収分光など、放射光X線をプローブとした時間分解測定法あるいはイメージング手法などを開発・応用することにより、“物質反応”への理解を進めています。

 21世紀に入り私たちを取り巻く環境は大きく変化し、生活を豊かにする為の科学技術の開発から、もっと本質的な地球環境、資源、エネルギーなどの問題に注目が行き始めつつあります。それに伴って、性能の効率化による省エネ技術の利用、資源の問題に関しては、無尽蔵にあるものを使い尽くすエントロピー増大の発想から、有限のものを循環させて利用するという発想に移行しつつあると言えます。したがってこれからの社会の目指すべき方向に対応するためには、高効率特性を有する新しい材料の開発やリサイクルシステムの構築など、様々な技術開発が必要不可欠であると考えられます。原子力の分野では、発電効率が極めて高く、廃棄物のゼロエミッションを目指した原子炉の開発、近年問題となっている高レベル放射性廃棄物の処分の問題など最先端の科学技術をもって解決しなければなりません。

 このような時代背景の中で、本研究ユニットは、特に次世代型原子力システムの確立の観点から最重要課題である再処理・高レベル放射性廃液処理のための抽出分離剤の分子設計手法の開発やアクチノイド錯体化学研究、および水素貯蔵材料効率化の為の素材開発、省有用貴金属のための方法論あるいは新素材開発など、環境・エネルギー問題を解決できるような原理や方法論の確立を通じて社会貢献を図ろうと考えています。

(独)日本原子力研究開発機構
量子ビーム応用研究部門
量子ビーム反応制御・解析技術研究ユニット長
矢板 毅