放射光利用技術の高度化によって拓かれる原子力の未来
アクチノイドなど重元素物質の化学結合および構造特性の解明を基に究極の化学反応制御法の確立を目指す。
アクチノイドは、原子番号89~103番までの元素群であり、その内殻に存在するf軌道に電子が充填されていく系列元素群である。その化学的振る舞いは、d遷移元素やランタノイドなど軽いf電子系元素の中間的挙動を示すと考えられているが、実際はこれらの情報だけでは類推することのできない特異な化学挙動を示す元素群である。我々のグループでは、この化学挙動の解明に、放射光X線や中性子などをプローブとした様々な分光法を適用し、構造・電子状態を明らかにするという錯体化学的アプローチから、詳細な現象解明研究を実施しています。これらの知見は、高レベル放射性廃棄物処理のためのアクチノイド抽出剤の分子設計手法の開発や創製をはじめ、高温溶融塩中でのアクチノイド、ランタノイドなどの挙動解析に役立っています。
*当グループは、我が国で唯一、専用の放射光RIビームラインと放射性物質(核燃料を含む)ハンドリング実験室の両方を利用している研究グループです。
研究内容
アクチノイドの化学結合および構造特性の解明
- U~Cmと窒素、硫黄を有するソフトドナー配位子との錯体の電子状態解明
- EXAFSによる水溶液中におけるNpのスペシエーション
- 高温溶融塩中におけるf電子系元素の構造解析とシミュレーション技術の開発
アクチノイド選択的な新しい抽出剤に関する分子設計研究および創製
- 遍歴的f軌道電子に応答する配位子フェナントロリンアミド(PTA)の分子設計および創製
- アクチノイド抽出剤ベンゾイミダゾールアミド(BIZA)誘導体の開発とその機能性に関する研究
- 構造活性相関法を用いるU(VI)に選択的な枝分かれ系アミド抽出剤BAMAの高度化研究
多価重元素イオン錯体をコアに持つ逆ミセルの構造特性
- 中性子小角散乱による3価アクチノイド・ランタノイド-TODGA-パラフィン溶媒系溶媒おける逆ミセル構造特性
- ウラン、プルトニウム抽出系におけるモノアミドによる第三相生成特性の解明
放射光X線をプローブとしたアクチノイドなど極微量構造解析システムの開発およびイメージング手法の確立
- アンジュレータ駆動高エネルギーXAFSシステムの構築
- アンジュレータビームラインにおけるQXAFSシステムの開発
- 位置分解XAFSイメージングシステムの開発と原子力開発への応用
ソルトフリー分離システムの開発
- fsレーザーによるMA物質化学反応制御に関する基礎原理構築
グループメンバー
播磨チーム
| 矢板 毅 | 主任研究員・グループリーダー | |
| 塩飽 秀啓 | 副主任研究員 | |
| 小林 徹 | 任期付研究員 | |
| 宮崎 有史 | 任期付研究員 | |
| AWUAL Md. Rabiul | 博士研究員 |
東海チーム
| 岡本 芳浩 | 主任研究員・サブリーダー | |
| 鈴木 伸一 | 主任研究員 | |
| 元川 竜平 | 研究員 | |
| 越坂 亜希子 | 特定課題推進員 |
実験施設・分析装置
| 播磨地区 |
放射光物性研究棟 化学実験室4, 物理実験室7(非放射性) 核磁気共鳴装置 Varian 400MHz 単結晶X線回折装置 Rigaku Saturn726 system 吸光光度計 日本分光 原子吸光 発光分光測定装置 浸透圧計 表面張力測定装置 電気化学分析装置 |
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| 東海地区 |
原子力科学研究所内 第4研究棟 (核燃料、放射性物質使用可) 核磁気共鳴装置 Varian Inova 400MHz 多核、パルスフィールド・グラディエント 溶液X線回折装置 Rigaku RINT3000 蛍光X線分析装置 赤外吸収分光装置 ICP-MS VG ダイナミック光散乱実験装置 |
主に利用している放射光施設等
| SPring-8 | BL11XU, BL14B1, BL22XU (放射性物質使用可能施設) 以上原子力機構専用ビームライン | |
| KEK PF | BL27A、B (放射性物質使用可能施設) | |
| Advanced Light Source (ALS, USA) |
BL 7.0.1,BL11.0.1, BL 11.3.1 (放射性物質使用可能施設) |
外部資金獲得研究課題
| 科研費 | 基盤研究C(H19-21) 基盤研究C(H21- ) 若手研究B(H23- ) 若手研究B(H23- ) |
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| エネ庁 | 受託研究(H20- ) | |
| JST | 受託研究(H21- ) |
共同研究
| 国内: | 東工大、京大、神戸大、産総研 | |
| 海外: | Lawrence Berkeley National Laboratory(USA), Oak Ridge National Laboratory(USA) |
最新の成果発信
発表論文
総説、記事等
| 岡本ほか、 | 溶融塩および高温化学 「放射光EXAFSによる溶融塩構造解析とイメージング研究への展開」(印刷中)(2010). |
| 鈴木ほか、 | 月刊ファインケミカル(シーエムシー出版)、Vol.38 (10), 47-62, 「原子力バックエンドにおける配位子創出研究の最前線」(2009). |
| 矢板ほか、 | 日本化学会誌 化学と工業 Vol.62-3, 205-209,「高レベル放射性廃棄物の低減化最前線」(インタビュー記事) (2009).
放射化学ニュース(日本放射化学) 第21号, 27-30, 「SPring-8における原子力機構専用ビームラインおよびRI実験棟」(2009). |
受賞
| 小林徹、 | 日本化学会第88回春季年会学生優秀講演賞 「フェナントロリンアミド型配位子の創製とその3,4価アクチノイドイオン分離特性」 |
| 池田篤史、 | 2008-2009年日本放射化学会・奨励賞、「放射光X線分光によるアクチノイドの溶液内化学種の解明」 |
最近の研究成果
- 高エネルギーXAFSおよび放射光イメージングXAFSの原子力要素技術への応用

- QuickXAFSなどを用いる極微量アクチノイド測定のためのビームライン高度化

- 高レベル廃液等処理のための新規イオン認識化合物の設計・開発

- ソルトフリーU(IV)抽出剤の開発

国際会議開催のお知らせ
平成23年3月2日~4日に、ActinidesXAS-2011 (6th Workshop on Speciation, Techniques, and Facilities for Radioactive Materials at Synchrotron Light Source and Other Quantum Beam )をSPring-8にて開催(JAEA QuBSおよびJASRI共催)しました。

