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高密度物質研究グループ

2012年04月17日更新
高圧下の化学反応、構造相転移の機構解明と
新物質・新材料の創出をめざした放射光・中性子実験技術の開発

 物質は高密度状態になるとその性質を大きく変えます。代表的な例は金属水素です。原子番号1の水素は1気圧、室温下では気体として存在しますが、500万気圧の高圧下で実現する高密度固体は、銅やアルミニウムのように電気を通す金属になる!と理論予測されています。木星などの巨大惑星の内部には金属水素が存在すると考えられていますが、地球上では500万気圧を発生させることが困難なため水素の金属化は未だに成功していません。

 数十万気圧の高圧下で実現する高密度物質でも、1気圧下と全く異なる、特異な構造、状態が観測されます。物質を構成している元素が同じであるもかかわらず、高密度化に伴い原子配列が変り、原子間の化学結合状態が変り、その結果、電気的な性質、光学的な性質が変るのです。高密度状態の構造と性質を調べることは、物質のそもそもの成り立ち、「構造と性質との関係」、を理解することに繋がり、さらには、常識では考えられない新しい物質を創り出す指針が得られることになります。

 数十万気圧の高圧下で圧縮され、高密度化された多様な物質の化学反応、相転移、結晶・液体構造を観測するためには、強力な放射光や中性子が不可欠です。高密度物質研究グループでは高圧下での放射光および中性子実験技術を開発することにより、世界をリードする物質・材料科学の開拓に貢献することを目指しています。

研究内容

放射光を用いた高密度構造研究法の開発

  • 低温高圧下の単結晶X線回折測定
  • 高圧下のX線吸収法による電子状態測定
  • X線回折・吸収・散乱を用いた液体の構造測定
  • 高圧反応過程のその場観察

中性子を用いた高密度構造研究法の開発

  • 低温高圧下および高温高圧下の粉末中性子回折測定
  • 低温高圧下での磁気散乱測定
  • 中性子散乱を用いた液体・非晶質の構造測定

軽元素金属化合物の合成と構造・物性研究

  • 金属酸化物の合成と材料評価    ペロブスカイト型化合物
  • 金属水素化物の合成と物性研究  YHx, LaHx,AlH3

高密度状態における特異な構造や電子状態の研究

  • 高温高圧液体の構造と相転移     H2O, 金属・半導体
  • 準結晶・近似結晶の構造と電子状態  Cd-Yb
  • 強相関電子化合物の磁気秩序と相転移 充填スクッテルダイト化合物

地球・惑星内部物質の高密度状態研究

  • 含水鉱物の構造と相転移      AlOOD
  • 氷の相転移と誘電的性質    D2O

グループメンバー

播磨チーム

片山 芳則 研究主席・グループリーダー
綿貫 徹   副主任研究員
町田 晃彦   副主任研究員
齋藤 寛之   副主任研究員
遠藤 成輝   博士研究員
Oscar Yagafarov   特定課題推進員
青木 勝敏   客員研究員(東北大学)

東海チーム

長壁 豊隆 主任研究員・サブリーダー
深澤 裕   副主任研究員
服部 高典   副主任研究員
山内 宏樹   研究員
佐野 亜沙美   研究員
関根 由莉奈   研究員
塩家 正広   特定課題推進員
鍵 裕之   客員研究員(東京大学)
上床 美也   客員研究員(東京大学)

現在重点的に取り組んでいる研究活動

量子ビームを用いた水素化物研究の連携体制の構築

 最も小さな原子、水素は物質に容易に侵入し、水素化物を形成します。物質中に侵入した水素原子は周囲の原子との相互作用によって母体物質の電気・磁気特性などの材料物性を著しく変えることが知られていますが、その詳細は解明されていません。また、高輝度、高偏光、広波長領域などの優れた光学特性を持つ、第三世代の放射光は電子状態、磁気構造の測定に高い能力を発揮します。中性子ビームは物質中での水素位置や結合状態を直接観測することができる唯一のプローブです。世界に誇る第三世代放射光施設SPring-8と運転が始まったJ-PARCの中性子施設を利用した「水素と物質との相互作用の研究」を、大学、法人・民間研究機関と連携して推し進めるため、下記の活動を通して、体制つくりに取り組んでいます。
  • SPring-8で放射光を利用した水素化物の反応機構、構造・物性研究の推進を目指した「NEDO水素貯蔵材料先端基盤研究事業・材料物性グループ」の受託
    (詳しくはhttp://unit.aist.go.jp/energy/hydro-star/index.htmlをご覧下さい)
 近年、地球内部にも水が含水鉱物の形で存在し、マグマの生成などに大きな影響を与えることを示唆する研究が発表されています。しかしながら、これまでの放射光X線を用いた高温高圧実験では、水素の位置を調べることができませんでした。地球内部の上部マントルの圧力温度条件での中性子回折実験を実現するために、大学の研究者と原子力機構の研究者が協力して、J-PARCの中性子施設に超高圧ビームラインを建設しています。
  • J-PARCで高温高圧実験を実現し、地球深部の水が係る現象の解明を目指した科研費新学術領域研究「高温高圧中性子実験で拓く地球の物質科学」
    (詳しくはhttp://yagi.issp.u-tokyo.ac.jp/shingakujutsu/をご覧ください)

外部資金獲得研究課題

科研費

基盤研究A 高密度水素を利用した金属水素化物の合成と電子転移機構の解明(H17~H19、終了)
(物質・材料研究機構、大阪大学、岐阜大学、東京大学と連携)
基盤研究B   高圧下融液徐冷法によるⅢ族窒化物半導体のバルク単結晶育成(H17~H19、終了)
若手研究B   12回対称性を持つタンタル-テルル系準結晶の高温高圧合成(H19~H20)
若手研究B   高温高圧技術を用いた窒化ガリウム-窒化アルミニウム合金のバルク単結晶育成(H17~H18、終了)
若手研究B   近似結晶と対比させたCd-Yb2元系準結晶の高圧低温下構造変化の研究(H17~H18、終了)
若手研究B   希土類金属水素化物の秩序-無秩序転移の探索に関する研究(H17~H18、終了)

NEDO

水素貯蔵材料先端基盤研究事業(H19~H23)

その他

三菱財団 超高圧下の水の構造と分子解離の検証(H18~H19)

最近の研究成果

最新の成果発信